教育・研究

外国人患者の受け入れ

国際医療を担う人材育成と、グローバルヘルス研究・健康・医療イノベーション研究をおこなっています。

教育・人材育成

国際医療センターが開催した学術集会・シンポジウムなど

◆国際医療シンポジウム Go Global !!
  国内(2013~)
  サンフランシスコ(2014)
  上海(2014)
  グローニンゲン(2015)
  バンコク(2016~)
  サンパウロ(2016)
◆アカデミア臨床開発セミナー(2017~)
◆国際共同臨床研究推進シンポジウム(2017~)
◆国際臨床医学会 2016年設立・第1回学術集会主催

(1)全学共通教育科目 「健康・医療の基礎」「健康・医療イノベーション学」
 平成26年度後期から開講している通年科目で、開講に先立って平成25年度中に大阪大学内の全学部・研究科および全学共通の関連教育プログラムについて調査・調整を行い、その結果にもとづいて具体的なカリキュラム・シラバスを作成しました。開始当初は医学部1年次のみ必修履修でしたが、平成27年度からは全学共通教育科目となり、医学部に加えて歯学部も必修となりました。また他学部は、所属学部に関係なく1~4年次いずれの学年でも選択履修が可能であり、文系、理系を問わず多様な学部からの履修登録を受けています。

 本教育プログラムでは、健康や医療におけるイノベーションやグローバリゼーションについて最新の情報を提供するとともに、多様な視点や角度からの問題提起を行っています。具体的には国際医療と未来医療についての講義をオムニバス形式で実施し、講師は大阪大学の全学部・研究科の教員のなかから、健康や医療におけるイノベーションやグローバリゼーションを第一線で実践しているスペシャリストを招請しています。また、一部は同様のスペシャリストを国内の他の大学・研究機関や民間企業から、さらに海外からも招聘しています。

 毎回の講義において、受講した感想もふくめたレポートを学生に課していますが、その中で医療におけるイノベーションやグローバリゼーションといったパラダイムシフトに向けて柔軟な発想法の獲得や、従来の固定観念にとらわれない新たな着眼点への気付きが見て取れます。また、コース開始前後に行った意識調査においても同様の傾向が認められており、本教育プログラムの目指す健康と医療をグローバルな視点で捉えるという教育効果が明らかに示されています。将来、受講生の中から先進医療や国際医療の推進を担う新たなグローバル医療人材が輩出されることが期待できます。

(2)医学部基礎配属実習
 基礎医学講座配属とは、大阪大学医学部3年次の約3か月間、基礎系51講座に分担配属され、研究・実習活動を行う必修実習です。学部学生の期間中に基礎医学研究の基本的能力を習得し、将来の医学研究の素地とすることが目的です。当講座では、2016年より受け入れを開始、4名ずつの学生を選抜し、学生の自主性を尊重し国際医療への関心を伸ばすプログラムを行っています。

  • 阪大・りんくう総合医療センターでの医療通訳・コーディネート業務の見学と実習
  • 中之島センター「医療通訳養成コース」の聴講
  • 医療音声翻訳病院内臨床試験(共同研究)の協力
  • global health概論(中之島センター・東京ブランチ)の聴講
  • 海外実習 その他
研究テーマ
2016年 日本医療のアウトバウンドとアウトバウンドにおける医療通訳形態の最適化について
~Sunrise Japan Hospitalの見学、医療者に対するインタビューを通して~
インドネシア研修~問題解決手法の学習と現地の医療~
コミュニケーション能力の重要因子~インドネシア研修及び外国人医療の現場より~
韓国の医療通訳状況から探る日本の医療通訳の改善策
2017年 日本と世界の救急事情を比較して、日本の救急事情を考える
大阪大学医学部附属病院における外国人診療の実態について
ジンバブエの平均寿命と今後
摂食障害における日本とアメリカの比較とこれからの日本の課題
2018年 ハンガリーにおける医療通訳士の認証制度
ハンガリー在住の日本人医学生

(3)大学院教育 高度副プログラム『健康・医療イノベーション』

  • 授業の目的と概要:健康と医療をグローバルな視点で捉え、先進医療や国際医療の推進を担う人材を育成するために、健康・医療イノベーション関連の実践・教育・研究におけるキャリアパス形成となる教育を行っています。その基本として、以下の講義内容を深く理解、習得する人材を養成することを目的としています。
    1)健康を維持することの重要性
    2)日本の保健・医療の優れている点、さらに新たに改善していくべき課題点
    3)海外の保健・医療事情
    4)日本と世界での医療を支え、新たに推進していくには医療専門職(医師、看護師、技師等)のみならず、広い人材が必要であること
  • 学習目標:学生が健康と医療をグローバルな視点で捉え、自らが先進医療や国際医療の推進を担うことができること。
  • 講義により最新の知識・情報を提供するとともに、小グループ討論や成果発表を取り入れることにより、課題探求能力・問題解決能力の向上を図っています。2016年度「健康医療特論」の講義では「健康・長寿」をテーマとし、具体的には人類の健康・長寿への挑戦として大阪が万博2025を誘致するために必要なものはなにかについて、講義・グループ調査と討論を行いました。

(4)社会人教育「医療通訳養成コース」
 近年、社会のグローバル化に従い、日本を観光やビジネスで訪れる外国人の数が増えてきています。特に、アジアの外国人が多数を占めているといわれます。また、近年メディカルツーリズムのブームで、健康診断や疾病の診療目的で訪日する外国人も増えてきています。一方、法務省のデータによると、留学・就労・研究・ビジネスなど在留外国人登録者数は総数も出身地域別も5年連続増加で、2015年のデータを2011年と比べると、29.34%増となりました。
 在留外国人は病気にかかると、当然日本の医療機関で医療サービスを受けることになります。訪日する外国人も滞在期間内で不慮な事故に遭ったり、体調を崩して急病になることもあります。外国人が日本人と同じ水準の安全と安心な医療を受けられるのは基本の権利であると考えられています。
 2020年の東京オリンピック、パラリンピック開催をひかえ、今後ますます訪日外国人の増加が予想される中、日本語ができない外国人が医療機関で安心して治療を受けるための態勢整備が必要とされており、その一環として、医療通訳の養成が急務と考えられます。
 医学系研究科では、2015年度より大阪大学中之島センターにおいて、社会人を対象とした「医療通訳養成コース」を開催し、高度な語学力に加えて正しい医学的知識や医療倫理を持ち、さらに外国人患者の文化宗教的背景までも十分理解した医療通訳者の育成を行っています。

(5)高大連携
 大阪大学では、高等学校から大学へのスムーズな学習連携が、次世代の学生の資質向上に必要であると考え、大阪大学の教育研究活動を広く知っていただくための活動に取り組んでいます。平成27年に大阪教育大学附属高等学校と連携協定を締結しており、当講座では文部科学省「スーパーグローバルハイスクール」に指定された大阪教育大学附属高等学校平野校舎と連携して、保健・医療分野に関する教育について協力しています。具体的には、大学院医学系研究科や医学部附属病院の見学を受入れたり、健康・医療イノベーション学のビデオ聴講(一部)を許可したりしています。国際医療に対する高校生の興味は強く、「連携授業を増やしてほしい」「自分の将来につながる」と好評です。若く、発想が柔軟な段階から国内外の保健や医療についての問題に触れることで、健康と医療をグローバルな視点で捉えることのできる人材の育成につながることを期待しています。

研究

 国際医療に対する社会的ニーズは飛躍的に高まり、講演やセミナーは年々増加しています。学内外を問わず、また産学、官民を問わず多方面からの講演依頼があります。本事業の活動内容を、学外や一般社会にも広く普及させるために情報発信は極めて重要であり、その重要な手段としての講演活動は今後も鋭意継続していく予定です。
 さらに、国際医療についての研究活動や情報交換を行う学術的な場を構築するために、大阪大学と同様に国際医療に積極的に取組んでいる北海道大学、東京大学、九州大学との協力のもと、2016年8月に国際臨床医学会を設立しました。大学や医療機関のみならず、国や各省庁、医療関係者、教育関係者、民間企業など幅広い人材が集まり、全国的な学術ネットワークとして活発な意見交換が行われる場となっています。大阪大学は、国際臨床医学会をリードすべく、第一回学術集会の開催や、様々な研究活動の発表を行っています。

研究内容

  1. グローバルヘルス
  2. 外国人診療
  3. 医療通訳
  4. グローバルヘルス人材育成

(1)これまで、グローバルヘルスの対象疾患は感染症がメインでしたが、世界規模で少子高齢化が進行し、高血圧や心血管疾患、がんなどのNCD(non communicable disease)に注目が集まりつつあります。今後、AUN(ASEAN UNIVERSITY NETWORK)との連携など、アジア各国と連携協力して、健康寿命やリプロダクティブヘルスに関する国際共同研究を展開していくことを目指しています。

(2)国際医療に関わる学術ネットワークとして、国際臨床医学会を複数の大学と共に新規に設立しました。これまで外国人診療に必要な体制整備などを研究会や講演で報告してきました。しかしながら、外国人患者の定義やその実数把握も不十分であり、未解決の課題も多くあります。今後はこれらを他の大学・医療機関と協力し、解決することを目指しています。

(3)国内では医療通訳の全国的な認証制度が存在しないため、現状や社会的意義の調査および公正な制度設計を目的として、2016年厚生労働科学研究「医療通訳の認証のあり方に関する研究」を行いました。2017年には「医療通訳認証の実用化に関する研究」が新たに厚生労働科学研究として採択され、資格審査のためのエビデンス・提案を行い、さらに医療通訳・外国人診療などの用語や職能・業務の定義を行うなど、国際医療を学術的に深めるための基礎的研究を行っています。 さらに、日本の高度な情報通信技術を医療に展開し、音声翻訳機器を医療通訳に応用する多施設共同臨床研究に参加しています。

◆厚生労働科学研究費補助金 地域医療基盤開発推進研究「医療通訳の認証のあり方に関する研究」 研究代表者 中田研(大阪大学大学院)
https://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIDD00.do?resrchNum=201620052A
◆厚生労働科学研究費補助金 地域医療基盤開発推進研究「医療通訳認証の実用化に関する研究」 研究代表者 中田研(大阪大学大学院)
https://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIDD00.do?resrchNum=201721060A
◆文部科学省未来医療研究人材養成拠点形成事業
「国際・未来医療のための人材養成拠点創生」
http://www2.med.osaka-u.ac.jp/cgh/thinkg/

投稿論文

  • 史 賢林、中田 研、小笠原 祐希子、 南谷 かおり.医療の国際化の意義と大阪大学の取り組み.日本整形外科学会雑誌89(2); S2, 2015
  • 小笠原 祐希子、中田 研、南谷 かおり、史 賢林、澤 芳樹.日本における国際医療の課題~大阪大学医学部附属病院国際医療センターの取り組み.未来共生学2; 141-61, 2015
  • 山田絵里、南谷かおり、史賢林、山崎慶太、小笠原祐希子、田畑知沙、中田研.国立大学病院での外国人患者診療と海外医療従事者研修の受入れ.日本渡航医学会誌 in press 2017年
  • Hiroki Nakatani. Global Strategies for the Prevention and Control of Infectious Disease and Non-Communicable Diseases. Journal of Epidemiology 26(4):171-178; 2016
  • 中谷比呂樹.新たなグローバル・ヘルスのパラダイム―WHOと日本へのインパクト― 保健の科学 58(2):81-85;2016
  • 中谷比呂樹.日本のグローバルヘルス人材.公衆衛生 80(5):362-366;2016
  • 田畑知沙、中田研.“医療通訳の認証に向けて”公開パネルディスカッション報告.国際臨床医学会雑誌 1(1):58-59; 2017
  • 田畑知沙、中谷大作、南谷かおり、中田研. “日本における外国人診療の課題:大学病院における医療通訳と‘言葉の先にある問題’” 国際臨床医学会雑誌 2(1):35-38; 2018

出版物

  • 中田研・山崎慶太/編.国際・未来医療学―健康・医療イノベーション 大阪大学出版会 2017年9月
  • 大阪大学医療通訳養成コース教科書編集員会/編. 通訳者のための医療の知識 保育者 2018年4月

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